こんにちは。
Microsoft 認定教育イノベーターの瀬戸口です。
今回はMicrosoft 365 Sway を活用した解説書コンテストの実践についてお伝えします。

生徒の悩みを抽出・共有し、クラス全員で解決する学習活動です。
数学解説書コンテストの流れ
①:単元の問題を一通り扱った後 Microsoft 365 Forms で“この単元で困ったことアンケート”を実施。
教科書の単元1つについて授業を行ったのち、解説書コンテストを実施。
学習していくと、生徒はどこかで疑問を持つため”単元で困ったことアンケート”をとると何かしらの悩みを書いてくれます。
実際に2不等式の単元で解説書コンテストを行ったときの生徒の悩みはこちらです。
- グラフの書き方
- ない
- 解の公式を解いた後の値がグラフのどこに当たるのかが分からない
- 答えが全ての解 解はなし x=□などになる見分け方が分からない
- テスト中にグラフって書いたほうがいいですか?
- 2次不等式の法則が分からないのと、共有点という存在が分からないです。
- 一つ一つの解き方の意味はわかるがどう、それがごちゃ混ぜで出てくると解き方がわからなくなる
- すべての実数や解はないなどの見分け方
- mの値を求める問題
- 解の公式を使った後の答えに至るまでがわからない
- いろんな種類があって混乱する
- マイナスをかけたら符号が逆になるところ
- 判別式を使う場面と使わない場面をまだ明確にできてない
- 解の存在範囲
- 時々どの公式を使うのかわからなくなる時がある
- 解の存在範囲and応用問題and計算ミス
- mの値の範囲を求めよで、Dを使う使わないの区別が難しい
- 連立不等式が分からない
- プリントNo.21の練習42の数直線に書き込む数字を出すのが難しい
- 連立不等式
- いろんな種類があって混乱する
- たすき掛け、因数分解、解の公式、の使い分け
- プリントno20の練習38の(2)がわかりません。
- たすき、因数分解、基本から教えてほしいです。
- No.20の練習38のような(3)ルートが含んでいる式を因数分解するのが少してこづった。
- No.19のOxーO<Oの解を求める問題の解き方が分からない
- 練習41が苦手
- 特にないです
- 基本から知りたいです。
- プリントNo.21の練習42の数直線に書き込む数字を出すのが苦手です
- 解はない、すべての実数などの答え方がわかりません。どれが、解はない、すべての実数などの使い分けがわかりません。
- 練習41の連立不等式が少し不安
- 共有点が2個あるのが苦手。 練習34も苦手。
- 今のところありません
- 特にないです
※教科書や問題集を見ながらアンケートさせると「何がわからないかわからない」等の悩みを減らせます。



思ったより積極的・具体的に悩みを書いてくれたのはよかったです。
②:数が多いものを“悩み1位”として“悩み5位”まで作成し、発表。
次の授業でアンケートの集計結果を Power Point で発表します。





「確かにこれも悩む」「やっぱり難しいよね」等様々なリアクションがありました。悩んでいるのは自分だけではないことがわかり、今からでも頑張ろうと思えるようです。
③:好きな順位の“悩み”についてそれを解決できる解説書を作ってもらう。
悩みの内容は様々で、自分がわかるものについて解説書を作ってもらいます。
すべてわからない生徒は教科書を見て調べてもらったり、わかる人に聞きながら解説書を作成していきます。



必ずポイントになるとこをはあるはずだから、色ペンを最低1色使うように指示を出しました。
実際の解説書(一部)がこちらです。




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情報を整理することで学習したことの確認にもなります。
④:解説書をデータ化し、Swayで作成したサイトで共有。共有された解説書を見て各自勉強する。
B5用紙で作成してもらった解説書をスキャンし、画像データにしたものを Microsoft 365 の Sway というアプリで作成したWebサイトにアップします。
生徒へはWebサイトのリンクを共有しスマホやタブレットでいつでも見られるようにします。
このWebサイトでクラスメイトが作成した解説書を見て自分の悩みを解決します。
実際のサイトがこちらです。



他でも紹介していますが、Sway はデータを見やすく共有することに長けています。
⑤:各“悩み”でどの解説書が一番わかりやすかったかを Forms により投票。
解説書を見比べて、一番わかりやすかったものに投票してもらいます(投票はMicrosoft 365 の Forms を使用)。
個人名がわかってしまうと、友達に投票してしまうため、各生徒に整理番号を割り振り、その整理番号で投票してもらいました。
こちらが投票用の Forms 画面です。





悩み1位~5位までのそれぞれで投票します。
⑥:投票数が多かった解説書を授業で発表し、生徒に賞状を渡す。
このようなスライドを作成し、イベント感満載で発表しました(スライドショーでご覧ください)。



発表のときが一番盛り上がりました。
⑦:Sway の解説書サイトはスマホでも見られるためテスト前の隙間時間の勉強に活用。
解説書を集めたサイトはテスト勉強に使います。
机に座って勉強する気が起きない時や、通学などの隙間時間等で見てくれたようです。
コンテスト終了後のサイトがこちらです。



すべての単元でコンテストを実施・蓄積していきたいところですが、教科書が終わらないためなかなかコンテストを実施できません…。
本取り組みのきっかけ
「わからないということを必要以上にネガティブに考えないでもらいたい。」
授業で一度聞いてわからなかった時に落ちこんだり自信を無くしてしまう生徒がいます。
もちろん一度聞いてわかることが理想ですが、定期考査までにしっかりと身についていれば問題ないと私は思います。
その思いを込めて、よく理解できていないことと向き合う場をこちらから提供することにしました。



わからないは勉強のスタートだと思ってほしいですね。
数学の学力低下の一番の原因は「わからないことの放置」にあると私は思っています。
中学の内容がわかっていないと高校の内容もわからず、受験目前で頑張ろうとしても受験に間に合わないパターンが多々あります。
そのため、わからないことを放置しないように、まずは「わからないときちんと言える」そして「わからないことと向き合い解決する場を設けること」が重要であると考えています。
取り組みを行って
本取り組みは“生徒が悩んでいること”を学習活動の起点としているからか、生徒は自分がわかっていないことを積極的にアンケートに書いてくれました。
“コンテスト”という特別な雰囲気もあり疑問の解決へ向けて前向きに取り組んでくれたようです。
Microsoft 365 Sway の使い方
本取り組みで使用したアプリ Sway の使用方法についてはこちらのページでまとめています。


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